本の紹介『転職2.0』(村上臣さん著)

『転職2.0』の紹介

『転職2.0』(村上臣著)では、日本が終身雇用を前提としたメンバーシップ型雇用から、欧米型のジョブ型雇用に近づきつつある状況で、「誰もが望み通りのキャリア」を手にするために、キャリアに対する考え方をアップデートする方法を提示している。

タイトルに「転職」とあるが、転職するためのノウハウ本ではなく、個人がキャリアアップするための方法論が書かれており、転職はあくまでもキャリアアップの手段の1つの選択肢にすぎない。

したがって、転職なんか考えていないという人にとっても、中長期のキャリアを考える上で、本書で紹介されている思考・行動様式は、有用といえる。

転職2.0とは?

1回の転職の成功が目的ではなく、自己の市場価値最大化が目的である

これからの転職に求められる思考・行動様式

①目的

転職は自分の市場価値を高める「手段」と考える

  1. 仕事は需要と供給の関係で成立するものであり、望み通りのキャリアを手にするためには、市場を意識し、自分の市場価値の最大化を図る必要がある
  2. 大事なのは「ある期間に成し遂げたいこと」を明確にすること。プロジェクトごとにどんな成果を出せたのかが問われるようになる。出したインパクトの大きさに応じて給料が決まっていく

ポイント!
転職が目的ではない。結果として転職するかしないかにかかわらず、自分の市場価値を高めることを意識して、従事するプロジェクトでどんな成果を出すかを考えて仕事をすることが大事

②行動

「タグ付け」で自分の希少価値を高める

  1. 「タグ付け」とは個人を想起させるためのフックとなるキーワードをつけることである。自分の強みや適性を見つけることは自己のタグを明らかにすることである。
  2. タグは「ポジション(役割)」「スキル」「業種」「経験」「コンピテンシー※」に分類できる。市場価値はこのタグの掛け合わせで希少性を高めることができる
    ※コンピテンシー:行動特性 (例)コミュニケーション能力、誠実性、主体性、チームワーク
  3. タグは発信してこそ意味がある。個人にタグが付けば自分以外の人から認知してもらいやすくなり、有用な情報が集まりやすくなる

ポイント!
いい情報を発信している人にはいい話がもたらされる。「あの人はこの分野に詳しい」「スペシャリストだ」と評判が立って、第一想起される人にはプロジェクト参加の打診や相談がくる

③考え方

目指すポジションから逆算してキャリアを考える

スキル思考
何を目指すかがなく、闇雲に英会話スクールや社会人大学・大学院に通ってみたりする
→終身雇用、年功序列が当たり前の前時代のみに通用する考え方

ポジション思考
目指すポジションがあり、そのためのスキルを得たり、そのための仕事に携わったりする思考
→ジョブ型中心となるポスト終身雇用時代のキャリア形成に必須の考え方

ポイント!
ジョブ型中心となるポスト終身雇用時代のキャリア形成に必須重要なのは、自分が目標としているポジションに近づくために、現状の自分を振り返り、そのギャップを埋めるために、どんな学びが必要かを考えて次のアクションをとること

④価値基準

「シナジー」を基準に仕事を選ぶ

  1. タグを得るには、どの会社・組織に在籍していたかではなく、会社・組織で何を達成したかが最も重要である
  2. 個人と会社・組織がお互いに助け合いながら必要な役割を果たし、相乗効果で成果を出す=シナジーを生み出すということ
  3. シナジーが個人の能力をアップさせ、市場価値を最大にする

ポイント!
シナジーを考えるときのポイントは、今やっている仕事、自分の強みを活かしながら広い視点から探ること

⑤人間関係

広くゆるいつながりをつくる

人脈

  • 狭く深く
  • 強いつながり
  • 近いコミュニティに偏る
  • Win-Winの関係でない




ネットワーキング

  • 広くゆるく
  • 弱いつながり
  • 多様性。仕事をしたことのない人も含まれる
  • Win-Winの関係

ネットワーキング:深くは知らないけどお互いに何となく興味がある、同じ業界にいてお互いの存在を認知している

シックス・ディグリーズ理論:世界中の人は6人の友人や知人を介せば間接的に知り合いになれるという仮説

ポイント!
個人がキャリアで成功するにあたって、キーパーソンとつながることができるかどうかが重要なポイントであり、弱いつながりであるネットワークの中にはキーパーソンが含まれている確率が高くなる

まとめ

1.方法論としての市場価値最大化は大きな武器になる
我慢しない働き方、ワークライフバランス、キャリアの選択肢を増やす
市場でのキャリアアップを目指している人は、今の会社・組織で達成したい目標が明確

2.実績・強み・やりたいことがない人でもできる
実績や強みがないというのは思い込みで、それらを明確にする方法をしらなかっただけ。今自分がやっている仕事を棚卸して整理してみる
今やっている仕事の中で、ワクワクすること、楽しさを感じられることは何かを棚卸し、やっていて満足感がある、やりがいを感じる仕事がもっとできる仕事は何なのか、どこにあるのかという視点で考える

3.まず「タグ付け」、発信することが大事
知識はインプットするだけでなく、必ずアウトプットする(発表、投稿)
コミュニティ活動に参加してゆるいつながりをつくろう

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